遠藤国賠パンフレット

はじめに
 

 
 ある日突然、やってもいない犯罪の犯人にされる---そんなことがあなたの身にふりかかったとしたら・・・・・。もちろん平穏な生活は破壊され、無実を証明するために裁判を争わなければなりません。それには長い月日と多額の費用がかかり、本来ならば自分の人生を充実させるはずの貴重なエネルギーを、まさに「ムダ」に使わざるをえないはめにおちいります。裁判の被告ということで、いわれのない差別や中傷を受けることもあり、就職や結婚の面でも有形無形のハンディキャップを負わざるをえないのです。

 それでも百歩ゆずって、裁判で比較的短期間のうちに無罪を証明できれば、まだ救われます。公正な事実認定がなされれば、あるいは「疑わしきは罰せず」という刑事裁判の原則が守られていれば、身に覚えのないことに有罪の宣告が下ることなどあるはずがないのですから。

遠藤さんのトラック(夜間走行中)
遠藤さんのトラック(夜間走行中)

 ところが悲しむべきことに、わが国の警察・検察、そして裁判所までもが、この簡単なことを実行できていないのです。戦後、ずさんな司法のもとで幾多の冤罪事件がでっちあげられました。みなさんもよくご存じの事件がいくつもあると思います。

 この「遠藤事件」もその一つです。今から20年近く前の昭和50年、宮城県松山町に住む遠藤祐一さん(当時20歳)に突如として轢き逃げ犯の容疑がかけられました。関係者の証言などから、轢き逃げ事故は遠藤さんの起こしたものではないことが明白だったにもかかわらず、遠藤さんは起訴され、第一審の裁判で有罪の宣告を受けました。さらに控訴審でもでたらめな判決で敗訴、無罪の判決をかちとるまでには最高裁まで行かなければなりませんでした。

 遠藤さんは今、ずさんな刑事裁判のおかげでこうむった精神的・経済的損害を賠償するよう、国と裁判官らに対して訴えを起こしています。それは遠藤さんの身にふりかかったような悲劇を二度とくりかえしてほしくないという願いであり、心の叫びでもあります。

 この小冊子は、遠藤さんの訴えが正当であること、かつ必要であることを、一人でも多くの方にご理解いただくために編まれました。事実はどうであったのか、そして刑事裁判にはどんな問題があったのか事件の発生から、起訴、そして刑事裁判の経緯、国賠訴訟の争点などを、順をおってできるだけ簡単にまとめています。このパンフレットをとおして、裁判と人権への関心が高まり、「遠藤国賠訴訟」へのご理解とご支援をいただければさいわいです。